「ごはんとおかずのルネサンス」弓田 亨、椎名眞知子
「ごはんとおかずのルネサンス」
弓田 亨、椎名眞知子
パティシエの弓田亨氏とその弟子、椎名眞知子氏が、フランス料理や菓子の専門家という視座から日本の家庭料理を見つめ直し、一般家庭でもつくれるレシピを紹介した一冊。
紹介されているレシピは、炊き込みご飯、味噌汁、金平ごぼう、筑前煮、おから、豚肉のしょうが焼、ハンバーグ、鶏の唐揚げ、餃子、カレーなど、ごくごく一般的なもの。
驚きの提案とは
驚くのは、彼らが提案する「料理づくりの基本」です。例えば、こんな感じ。
- アク抜きや下茹ではしない
- 砂糖・みりんは使わない
- いりこを中心とした出しで味を整える
その他にも「えっ!?」と思わず言ってしまうようなことが提案されています。
本書のレシピを貫く基本的な考え方は、「日本人が先人の知恵を受け継ぎながら作り、食べていた家庭料理」と「著者が学んだ海外の料理の長所」をミックスさせ、伝統的でもあり新しくもある、本物の日本料理を復活(ルネサンス)させよう! であり、具体的な共通項は「いりこ(煮干し)で出しをとる」というもの。
そして、提案されているレシピにのっけっから驚きます。
一番最初に提案されている「ごはん」のレシピには、タイ米やひえ、いりこやアーモンド、オリーブオイルが書かれています。「よーし! つくってみるか!」と張り切ることができず、ちょっと腰が引けてしまいます。
いりこ入りカレー
そこで「これなら大丈夫だろう」というカレーに挑戦してみることに。もちろん、カレーにもいりこが入ります。
果たして、そのカレーの美味しさに驚きました。本当に「え!」と声が出るほど美味しかったんです。自分でつくったカレーを食べて、これほど感動したのは初めても知れません。
*真ん中に乗っているオムレツは、本書のレシピには含まれません
写真は2日目のためトロけてしまって見えませんが、じゃがいもやにんじん、玉ねぎやなす、バナナやリンゴなど、カレーにお馴染みの野菜はもちろん、果物もたっぷりと入っています。
これら野菜や果物の味や、カレー(ジャワカレーの中辛を使用します)、スパイス、そしていりこの出しが渾然一体となって、「美味しい」を作り出しています。そして何と言うか、野菜を食べてる〜って感じもすごくするんですよね。
我が家のカレーは、今後これが定番になると思います。
栗ごはん
カレーがとても美味しかったので、冷凍庫に入りっぱなしになっていた栗を使って、栗ごはんを炊いてみました。
このレシピも「え? そんなの入れるの?」という感じで色々な材料が入りますが、これまたどうして実にウマイ。今まで食べたなかで、一番美味しい栗ごはんだったかも知れません。
豚と小松菜の味噌煮
調子に乗ってもう一品つくってみました。
豚と小松菜の味噌煮という料理名ではありますが、だいこんとにんじん、高野豆腐に切干大根、油揚げにごまが入っていて、とにかく具沢山。
食べてみると、それぞれの野菜、材料の味の輪郭をしっかり感じつつ、いりこと昆布の出しや味噌の味と重なりあい溶け合って、まろやかで優しく、深い味わい。まるで一晩置いた豚汁のような。
あっと言う間に平らげてしまいました。
野菜をたっぷり食べたい、ふだんのレシピを改革したい!(大げさですが)と思っている方には是非オススメの一冊です。