遺伝子組み換え(いでんしくみかえ)とは、「生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせること」(厚生労働省「遺伝子組み換え食品の安全性について」(消費者向けパンフレット:平成24年3月改訂)より)をいいます。
その資料によりますと、2012年3月時点で食品では、大豆・じゃがいも・なたね・とうもろこし・わた・てんさい(砂糖大根)・アルファルファ・パパイヤの8作物169品種について、日本で安全性が確認され、販売流通が認められています。日本での安全性のチェックポイントについて、新たな科学的知見が生じた場合は再評価を行うとされます。
新しい野菜の品種を作り出すときに遺伝子組み換え技術を利用する場合、F1種の技術とともに用いられることが大抵であると思われますが必須ではありません。遺伝子組み換えとF1種はそれぞれ独立した概念なので、F1種だから遺伝子組み換えである、遺伝子組み換えであるからF1種であるということは必ずしもありません。
なお、当然、当社で栽培している野菜に遺伝子組み換え作物はありません。
遺伝子組み換えと固定種
遺伝子組み換えとF1種の関係のように、遺伝子組み換えと固定種も独立した概念です。固定種ならば遺伝子組み換えではない、とは必ずしもいえません。しかし、種苗会社が遺伝子組み換え技術を固定種に導入する動機付けは弱いものであると推測されます。
なぜならば高い研究費用を投じて遺伝子組み換え品種を創出しても、種や蔓などで勝手に増やされてしまっては企業が投じた費用を回収できないからです。種苗法の品種登録制度などを活用しても、数十年で期限切れになったりいくつかの抜け道があったりで、増やされたり他の品種を作られたりします。
どうせ遺伝子組み換え技術を導入するのならば、種苗会社は種苗会社にとってのF1種の利点を活用することでしょう。できた種から同じ特徴をもつ野菜を増やせないというF1種の欠点は種苗会社の立場からは、毎年種を買ってもらえるという利点でもあり、開発した品種を増やされないという利点でもあるのです。
遺伝子組み換え作物について、知らず知らずのうちに食卓に浸透してしまうことや未知のリスクなどを危惧する消費者も多いと聞きます。将来に新たな科学的知見が生じて従来の知見が否定されるということは、科学の本質であるともいえます。
遺伝子組み換え技術などを危惧するお客様にとっては、この点によって固定種野菜を積極的に選択することが食卓の安心につながると思われます。それは種苗会社は遺伝子組み換えなどの各種技術を固定種に導入したがらない作用が働くという点です。