太陽熱養生処理に使用する堆肥の仕込み
徳本です。
今年の秋以降に使用するほ場の土壌改のために実施する、太陽熱養生処理に使用する堆肥の仕込みを始めました。
太陽熱養生処理を実施するほ場の現在の土壌の状態、改善の結果として獲得すべき状態(目標値)を定めて施肥設計し、堆肥づくりを進めます。
- 草 14トン
- 牛糞堆肥 14トン
- 発酵鶏糞 1680kg
- 貝石灰 120kg
- バチルス菌・乳酸菌・酵母菌の希釈液(100倍) 500L
堆肥のレシピ
今回の堆肥のポイントは、C/N比(炭素率)をおよそ25%と、やや高めに設定していることです。C/N比は一般的には15〜20%が良いとされていますが、BLOF理論における太陽熱養生処理はしっかりとした土壌水分、ミネラル、アミノ酸を仕込んで行う為、有用微生物がより活性化します。その為に微生物のエサ=エネルギーとなる炭水化物を多めに仕込む必要があります。
牛糞堆肥は分析の結果、C/N比が約17%であることが分かっているため、不足する8%を「草」で補います。草は、細胞の主成分がセルロースという炭水化物(多糖類)でできているので、ほ場に大量の炭水化物を投入できる、という意味もあります。
ちなみにこの草は、今の時期になるとどんどん伸びる雑草を刈り取ったもので、行政の指定業者が河川敷や幹線道路沿いなどを除草する際に出る大量の草を譲り受けており、9月ごろまで、鳥取県東部から中部に掛けての大量の刈草がトゥリーアンドノーフに届けられる予定です。
僕の後ろに山積みされているのがその草で、およそ50立方メートル(重さにして約14トン)あります。
この草と牛糞堆肥、発酵鶏糞と貝石灰を以下のように4層のミルフィーユ状態で積み重ね、これにバチルス菌や乳酸菌を500倍に希釈した菌体液をかけてマルチシートで覆い、一度の切り返しを経て、およそ2週間で堆肥化しようという計画です。
(4層目) 堆肥
(3層目) 草+発酵鶏糞+貝石灰
(2層目) 堆肥
(1層目) 草+発酵鶏糞+貝石灰
ユンボで山積みになっている草を平らにならします。
ただ積んでいただけですが、雨に濡れて発酵が進み、内部からはわずかに湯気が立ち昇っています。草の中に手を入れてみると非常に暖かい(60℃から70℃近くあり熱いと言えるほど)。これだけの発酵熱を生じさせる、目に見えない菌の力に驚かされます。
2週間という短期間で草を堆肥化するため、発酵をより促進させる目的でバチルス菌や乳酸菌を希釈したものをたっぷりと降りかけます。
その後、発酵鶏糞と貝石灰を散布。貝石灰は、主に微生物のエサとして投入しています。
この上に牛糞堆肥を乗せていきます。
牛糞堆肥をしっかり乗せたら、その上にさらに草を乗せ、
さらにその上に牛糞堆肥(発酵鶏糞と石灰を混ぜ合わせたもの)を乗せていきます。火山の噴火口のように見えますね。高さは2メートル以上になりました。
全てを乗せ終えたら、上から圧をかけて形を整えます。
マルチシートで覆って、
土嚢で周囲を押さえて、完成!
およそ30トンの堆肥の仕込みが完了しました。
マルチシートの内部は、70度以下になるよう調整する必要があります。あまり温度が高くなってしまうと、バチルス菌が大量繁殖する代わりに放線菌などが減少してしまうため、菌のバランスが悪くなってしまうと考えられるからです。温度計を設置して、定期的にチェックする必要があります。
1週間ほどしたらにマルチシートを剥がして切り返し。およそ2週間で堆肥化し、ほ場に投入する予定です。
堆肥の成熟具合は、また追って共有します。