2018年中国四国土を考える会に参加しました
徳本です。
先週、島根県松江市、出雲市にて、一泊二日で開催された「2018年中国四国土を考える会」の夏季研修会に参加。中四国、九州の農業経営者、行政、研究機関、農機器メーカー担当者など、約40名の関係者が集い、土壌に関しての研修・意見交換を行いました。
国立の農業開発研究機関である農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)から、土壌資源の研究者である大倉利明博士を迎え、土壌モノリスを実際に圃場で作成・取得し、そこを起点に土づくり、作業体系を考えようというのが今回のテーマでした。
TREE&NORFの圃場は田んぼが多いのですが、しっかり排水対策していても、畝一本ずれただけで湿害が出たりというケースも少なからずあります。
この問題を抜本的に解決するためには、圃場を立体的に捉え、圃場の歴史やつくられた背景を理解することが必要であると感じていましたし、昨今の異常気象にも負けない強い作型を超大規模に構築・展開していくうえでも、大切な学びとなる研修でした。
土壌モノリス
土壌モノリスとは、地面に穴を堀り、現れた垂直の断面を土壌断面をその姿そのままで取り出した標本のことで、土壌断面標本とも言います。
土壌モノリスによって、地層や土質を検証・分析することで圃場を立体的に理解でき、地域の歴史や気候風土、地下水位の流れなども学ぶことができます。
僕たち農業者は、作物の根が張る表層15センチから20センチの部分(作土層といいます)を注視していますが、ふだんその下にあるものを目にすることはほとんどありません。
大倉博士が「自然にでき上がった農地というのは、日本国内においてはほとんどないんですよね。何らかの形で、人の手が必ず入っています」と言っておられましたが、国が過去30年間、事業として基盤整備(小さな農地をつなぎ合わせて圃場区画を大きくし、山などの土を持込んで均し、周辺の農道も整備するなど)を進めてきた結果が現在の農地です。
土壌モノリスが語る土地の歴史から圃場の土壌構造や特徴を学び、ふだん目にしない部分への理解を深めることで、日々の農作業において正しいアプローチができるようになるわけです。
土を考える会
土を考える会というのは、先の北海道視察でも参加しましたが、大型の農業機械を扱うスガノ農機をルーツに持つ、土地利用型作目(米、大豆、麦、トウモロコシなど)を主とした大規模経営の農業者が多数参加するイベントです。
そのため研修会場には、各メーカー協賛で、GPS自動操舵システムを備えた大型トラクターやアタッチメントなどがズラリと並んでいました。
全て試乗しました(^^)
GPS自動操舵のトラクター車内
アメリカ視察の際に訪問した全ての農業者は、GPSによる自動運転をベースに機械体系を構築していましたし、その為のインフラも非常に整備されていました。GPSによる運転制御は大規模な営農において、日本でも当たり前になってくるでしょう。
また、現在は土木作業にて取り出している土壌モノリスも、将来的には衛生やドローンなどによるセンシングでデータを取得できる時代が来ると予想します。
技術革新、つまり変化に対して、今すぐ僕たちが何かできるわけではありませんが、変化が可視化された時に初めて考え始めるのではなく、人脈を広げ、知見を得て、考えをめぐらし、準備し備えておくことは大切なことです。
そうした意味で、このような研修に参加することは、TREE&NORFにとって非常に重要なことです。
また、大倉博士を始め、私と比べたら何倍も農業歴のある皆さんの熱心で謙虚な学ぶ姿勢に感銘を受けました。今後も、土を考える会の研修会には参加していきたいと考えています。
皆さん、ありがとうございました。
* 農研機構 HP