僕たちの野菜が美味しい理由 – 窒素同化
徳本です。
今年初めての、小松菜に関するブログになります。
本格的に小松菜を栽培しはじめて3年経ちました。多くの試行錯誤と経験を経て、小松菜については多くの知見、ノウハウを蓄積できてきました。
おかげさまで、かなり品質の高い小松菜が収穫できています。
そしてさらに、今年はアドバイザーに西根氏を迎え、より高品質な小松菜を収穫できるよう肥培管理を実施しています。
西根氏は、有名な農業法人でマネジャーを勤めた経験を持っています。農経営や市場に関する経験と知識に加え、科学的な視点で見る力と知識を持ち、天候や野菜の状態を観察して何をすべきかを的確に判断、且つ明確に指示することができるなど、卓越した能力を持つ、日本でもトップレベルの農業人です。
西根軍曹の圃場行脚始まりました。追肥や防除のタイミングを擦り合わせ中。スイートコーン、今のところ順調🌽 pic.twitter.com/otyCIaNwYC
— 徳本修一 (@tokumoto1122) June 19, 2019
西根軍曹の圃場行脚。
防除のタイミングと、意図について改めてレクチャーを受けてます。 pic.twitter.com/FujxkBCgtW— 徳本修一 (@tokumoto1122) June 11, 2019
西根軍曹の栽培指導行脚、始まりました。 pic.twitter.com/RYcLJq397z
— 徳本修一 (@tokumoto1122) May 20, 2019
人が元気になる野菜をつくる
さて、僕たちが今年から掲げている新しいテーマは「人が元気になる野菜をつくる」。
野菜が本来その身に蓄えているはずの栄養素やミネラルを十分に持ち、食べて美味しく、笑顔になれ、食べると活力が湧いてきて元気になれる。
そのためには、野菜を栽培する畑の状態を定期的に分析し、データに基づいた施肥設計で土づくりをし、野菜の状態を観察しながら天候を考慮して都度、適切な肥培管理を実施することが重要です。
この説明だけでは少し漠然としていますので、具体例を一つ、ご紹介します。
窒素同化
小松菜の収穫前に、ある作業を実施します。目的は「窒素同化」です。
「窒素同化(ちっそどうか)」
アンモニアなどの簡単な窒素化合物を吸収し、これを素材にして、生体を構成するアミノ酸、タンパク質などの有機窒素化合物を合成することをいう。
—出典:コトバンク「窒素同化」
植物は、上記にあるように、アンモニアを硝酸=硝酸態窒素として体内に取り込みます。
硝酸態窒素は植物が成長するうえで欠かせないエネルギー源ですが、これがそのまま大量に植物の体に残ってしまうと、エグミのもとになります。
そこで、僕たちは野菜を収穫する前に、硝酸態窒素をアミノ酸やタンパク質などに同化(窒素同化)させています。
窒素同化させる前と後で、同じ圃場から収穫した小松菜の硝酸値を計測してみます。
窒素同化前 – 硝酸値 3400ppm/糖度 1.5%
窒素同化後 – 硝酸値 530ppm/糖度 2.8%
硝酸値で-84%減、糖度は87%増加しました。効果てき面ですね!
この硝酸値530ppmという数字を、より客観的に評価してみます。
日本には基準が設けられていませんが、EUでは硝酸対窒素などからなる硝酸塩の基準値を定めています(*1)。この基準値の対象野菜に小松菜は含まれていませんが、ほうれん草では3500(mg/kg)、ルッコラでは7000(mg/kg)などと定められています。
1000ppmが1mg/gなので、EU基準に換算すると1000ppm=1000mg/kg。つまり、今回の計測値は、530ppm=530mg/kgとなり、EU基準を大幅に下回っています。
もちろん、基準値が定められている野菜と同じではないので全く適正に評価できるわけではありませんが、計測したスタッフも「これ、小松菜ですか?」と驚いていました。
また硝酸値の低い野菜は一般的に傷みにくい、棚持ちが良いと言われているので、取引先からも喜ばれます。
今回は多くの中の一例ですが、このように、僕たちは「食べた人が元気になれる、美味しくて栄養満点の野菜をつくります」とテーマを掲げるだけでなく、それが漠然としたものにならないように、科学的視点やデータを重視した肥培管理によって出た結果を数値で残し、さらに品質が高まるよう研鑽を進めています。
*1 農林水産省:EUの取組状況
参考記事
・たぶせ健康野菜
・農林水産省「硝酸塩と窒素について」
お世話になります。
有機栽培にて小松菜を主に栽培しております。
こちらの記事において収穫前に窒素同化を行っていると記載されておりますが、
夕方に収穫する 以外の作業を行っているということでしょうか?
また、どのような作業をされているのか、教えていただけますと幸いです。
恐れ入りますがよろしくお願いいたします。