大規模被害報告:アブラムシの大発生

徳本です。

非常に残念で、辛いご報告となります。

1.5ヘクタール(1万5000m²)の畑で、収穫を数日後に控えていたおよそ40万株の小松菜にアブラムシ・ハダニが発生し、2〜3日という短期間で全滅に至る、という大規模な被害が出ました。

仲間たちと長い時間をかけて心血を注いで準備し、愛でるように育て、さあいよいよ収穫だ!という時に起きた害虫被害。本当に辛い出来事です。

最初に被害の概要を掲載しておきます。

    被害まとめ

  • 被害面積:約1.5ha
  • 被害量:小松菜 約40万株
  • 播種日:5月12日~5月17日
  • 収穫予定:6月14日~6月25日
  • 被害確認日:6月11日

アブラムシとハダニの被害

アブラムシとハダニ被害の兆候を確認したのは、6月11日頃。すぐに手動噴霧器でのサンクリスタル乳剤(*1)、ボタニガード(*2)などの散布を実施しましたが、増殖の勢いは全く止まらず。3日後の6月14日には、1.5ヘクタールの畑にあった小松菜、全ての株に蔓延し、収穫不可能の状態となりました。

一見して非常に生育良好に見えますが、全ての小松菜の葉の裏にはアブラムシがびっしり付いています。

アブラムシがついた小松菜は、数匹程度であれば水洗いして落とすことができますが、ここまでの数になると完全に除去することは不可能で、アブラムシが残った状態で出荷すれば、間違いなくクレーム、返品となります。

仮に時間をかけて出荷できる状態にしたとしても、売上をコストが上回ってしまうため、残念ですが、収穫そのものを諦めて畑に残置することになります。

被害の原因と考えられる要素

被害の出た畑、1.5ヘクタールは、4つの畑の面積の合計であり、4つの畑は比較的近い場所に位置していました。

これらの畑には、3月中旬まで前作の残渣が残っていましたが、3月中旬~4月上旬にスタブルカルチを2回、3月下旬~4月中旬ロータリーハロー2回をかけて整地・砕土しています(*3)。

施肥は播種のタイミングで行いました(有機質肥料、窒素量=10kg/10a)(*4)。

また、3日に1日くらいのペースで雨が降っていたので、畑が特に乾燥していたということはありません。

所見としては、白黒マルチ、黒マルチを施用していましたが、黒マルチを使用していた畑の方が、若干被害が少ないような印象でした。加えて、同じ畑でも、前作でほうれん草を栽培していたの被害は、他と比べてかなり小さいものでした(*5)。

(これは関係あるかないか不明ですが、昨年も今年も、アブラムシの大発生は新月の前後と重なっています)

以上のことから、前作残渣に寄生したアブラムシの卵が残っており、白黒マルチ内の土壌温度と湿度が孵化するに最適な環境を作り出し(*6)、一斉に孵化・発生したのではないかと推測しています。

今後の対策として

  • 前作の残渣を残さず徹底的に処理する
  • 太陽熱養生処理を実施して土中の病害虫をできるだけ死滅させる
  • 連作を行わないこと(間にほうれん草を挟むなど)

が主な対策として考えられます。

ただ、今回も残渣の処理は徹底していたつもりでしたし、一般的には、小松菜は連作障害が出づらいと言われる野菜です。僕たちは、年2回の作付で、残渣処理に加えて畑のインターバルをとってもしっかりとっており、決して無理のある連作をしているつもりはありません。

教科書に載っていること、一般的な情報、他社がやっている手法など、できることは試してきたが、それでも病害虫は抑えられず、かつ的確な原因が特定出来ない状況です。今回推測した被害原因についても、確信が持てていないことも事実です。

今後さらに研究と研鑽を進めたとしても、これを有機的手法のみで防除・抑制できるかどうかは、全くの未知数です。

.

そして、今週に入って、

再びの被害……

西日本豪雨で被災された方々、流された田畑のことを思えば、ですが、追い討ちをかけるかのような病気の発生に、心が折れそうになっています。。

*1 サンクリスタル乳剤:有効成分は食用油脂の防除材で、収穫直前まで使用できます
*2 ボタニガード:昆虫病原性糸状菌(ボーベリア バシアーナ)を利用した防除材です
*3 参考記事:「2018年3月のふりかえり
*4 参考記事:「2018年小松菜栽培、本格始動!(施肥+畝立て+は種)
*5 小松菜を同じ畑で繰り返し栽培していると、害虫が発生しやすくなったり、健康に育たなくなったりします。これを連作障害と呼びます。小松菜はアブラナ科に属す野菜ですが、ほうれん草はヒユ科に属す野菜ですので、小松菜、ほうれん草と順番に栽培(輪作と言います)することで、連作障害の発生率を下げることができます
*6 黒マルチの場合は温度が白黒マルチより温度が高くなるため、発生率が低くなったと推測


徳本 修一

トゥリーアンドノーフ代表取締役。消防士、芸能マネージャー、歌手、ITベンチャー役員を経て、子どもたちがおいしく安心して食べられる野菜を作るため鳥取に帰郷しトゥリーアンドノーフを発足。コメで世界を獲ったるで!(詳しいプロフィールはこちら)

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