グランドソワ—
徳本です。
農業の重要な作業工程に、肥料を撒く=「施肥(せひ)」という作業があります。
手作業でも可能ですが、僕たちのように大面積に対して施肥するには、専用の機械が欠かせません。
肥料と機械の種類
まず、肥料について整理したいと思います。
肥料は目的や形状によって、1)液状、2)ペレット状、3)粉末状、4)ペースト状(堆肥等)の4つに分類できます。
そしてそれらを撒く(施肥)機械も、4つに分類することができます。
肥料の種類 | 使用する機械 |
---|---|
液状 | 動力噴霧器・ブームスプレイヤー |
ペレット状 | ブロードキャスター・グランドソワー |
粉末状 | グランドソワー |
ペースト状 | マニュアスプレッダー |
現在、トゥリーアンドノーフが使用しているのは、主にペレット状の有機質肥料。使用している機械はグランドソワー(*1)です。
ブロキャスとの違い
一昨年までは、ブロードキャスター(以下、通称名「ブロキャス」)を使用していました。
ブロキャスは、機械の下部についている円盤の遠心力で、7〜8メートル幅で肥料を飛ばすかたちで散布します。
散布量や作業性は高いのですが、畑を往復しながら散布する際に、散布域の端と端が重なり、そこだけ多く散布されてしまうなど、散布ムラが生じていました(*2)。
また、散布幅の広さが災いし、本来施肥する必要のない畝間(畑の30%も!)にも散布してしまうので、余計なコストも生じていました。
この状態を改善するために、小松菜が生育する場所(野菜が根を張る場所)だけに均一に施肥できる、グランドソワーを導入したわけです。
グランドソワーの仕組みはシンプル。
トラクターの前部に取り付けたホッパーに肥料を入れます。
次に施肥したい量を設定。
あとは畝の上をトラクターで走りながら車内のスイッチで操作し、ホースから畝の上に肥料を落とすだけです。
グランドソワーの散布幅の初期値は2メートル。僕たちの圃場の小松菜の畝幅は90センチのため、ホースの量を減らして90センチ幅に縮小し、畝の上だけに均一に施肥できるようにカスタマイズしました。
グランドソワーによる施肥に、畝立て・播種・マルチングを加えた作業を一工程で済ませることができるようにし、生産性を高めています(詳しくは「2018年小松菜栽培、本格始動!(施肥+畝立て+は種)」をご覧ください)。
定期的なメインテナンス、清掃が欠かせません
肥料ムラは生育ムラに直結
小松菜は、栄養成長の過程で収穫し、商品になる葉物野菜です。
成長や大きさに強く影響を与える土壌の窒素成分にムラがあると、小松菜の生育にもムラ(バラつき)が生じてしまいます(*3)。
右端から2列(2条)の生育が悪い
生育ムラが生じると収量は半減します。
さらに、収穫作業や、出荷するための調整作業が、生育が揃った場合に比べて何倍もかかってしまいます。収穫や出荷調整といった作業は人に手によるものなので、人件費が何倍もかかるということになります。
畝の端から端までビシッと小松菜の大きさを揃え、秀品率を上げ、効率よく収穫・出荷する。これが葉物野菜で利益を出す生命線と言えます。
僕たちは時期や品種に応じて10アールあたりの窒素量を計算し、施肥しています。
計算したとおりに、施肥量を繊細にコントロールし、肥料の必要な場所に必要な量を散布できる機械が、グランドソワーなのです。
ブロキャスと比較すると、散布時間は倍近くかかりますが、トータルで考えればやはり、グランドソワーという選択になるわけです。
*2 グランドソワーはタイショー社の商品名で、他社にはクリーンソワー、ライムソワーという商品名もあります。
*2 「ブロキャスによる散布ムラ」 GPS装置付きトラクターで散布幅を設定すれば、ムラはかなり少なくなるようです。
*3 水捌けと日照量も生育ムラの原因になります。
畝の端から端までビシッと小松菜の大きさを揃え>さすが、プロですね。
私の畑では小松菜は、このようにはできません。
やはり、良い農業機械があってのものなのでしょうか。
by 珈琲工房サントス 瀬崎