野焼き – Open burning of agriculture

農業の言葉野焼き

野焼きとは、栽培が始まる前に田畑に火を入れて、畑に残っている収穫物の残り(収穫残渣=しゅうかく・ざんさ)や、枯れている雑草などを燃やす作業のことです。


野焼きの様子

窒素飢餓を防ぐ

畑に残った、または枯れた雑草は「残渣(ざんさ)」と言います。これがそのままになっていると腐って分解されていくのですが、これは畑の土の中にいる微生物の働きによるものです。

微生物は土の中にある窒素を栄養として消費するので、残渣がたくさん残っていると、それだけ微生物がたくさん働くことになり、結果として土中の窒素も消費され、少なくなります。

窒素は野菜を育てるうえで重要な要素の一つなので、土中から窒素がなくなると「窒素飢餓」の状態になり、野菜をうまく育てることができなくなります。

そのため、野焼きをして枯れ草を燃やし、土中の微生物がたくさん働かなくてもよい環境に整えてやるのです。

栄養素が土中に溶け込みやすくなる

雑草が燃えると炭化し、分子構造が細かくなります。そのため、栄養素として土中に溶け込みやすくなります。

害虫の防除になる

雑草が長い間畑に残っていると、病害虫の巣となり発生源となる可能性が高まります。野焼き=焼却により病害虫の発生を未然に防ぎ、あるいは病害虫がすでにいても死滅させることが期待できます。

近隣の迷惑となる場合も

野焼きする田畑の近くに住宅地がある場合、煙や臭いによって迷惑をかける場合があります。

特に、かつては農村であり、農業に従事する人たちで構成されていたエリアにあらたに住宅街ができ、そこに農業とは関係のない住人が住んでいる場合などは、野焼きに対するクレームは多く発生しているようです。

トゥリーアンドノーフの畑は、住宅のある集落から離れており、また近隣住民も農業に理解のある人が多いため、特に問題になっていません。

死者、怪我人が絶えない危険な作業

田畑の枯れ草を燃やす光景は、春になるといたるところで見られ、遠くから眺めるぶんには牧歌的な風景に見えます。

しかし、一つ間違えば林野火災につながる危険な作業です。

過去、野焼きによって多くの命が奪われてきたことを考えると(*)、特に注意して行う作業であると言えます。

トゥリーアンドノーフでは、安全対策として、たとえば野焼きする畑の周囲に予め水を撒いておき、延焼を防ぐようにしています。


延焼を防ぐため、予め周囲に水を撒き、またいつでも消火できるようにしておくことが重要(画像出典:「動力噴霧器」)

もちろん、火が完全に鎮火するまでは現場を離れず、常に消火活動ができるよう、大量の水を入れたタンクを軽トラに乗せて監視・待機しています。

届け出が必要

上記のように、野焼きは近隣の迷惑になる可能性があり、また危険な行為であることから、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第16条の2の規定により、一部の例外を除き、廃棄物の野外焼却は禁止されています。

農業に関する焼却はその例外として認められていますが、所轄の消防署への届け出が必要です。

トゥリーアンドノーフが農業を営む鳥取県気高町は鳥取県東部広域行政管理組合の管轄です。鳥取県東部広域行政管理組合火災予防条例施行規則第46条第1号に基づき、「火災とまぎらわしい煙又は火炎を発するおそれのある行為の届出書」を提出しています。

* 2015年には、作業者が連れてきていた2歳の息子が焼け死ぬなど、毎年のように死亡者・怪我人が出ている(出典:Wikipedia「野焼き」)