「食(おいしい)は愛(うれしい)」岡田晴彦
徳本です。
トゥリーアンドノーフがもっともお世話になっている取引先の一つに、Pantry(パントリー)と、Lucky(ラッキー)という関西圏でこだわりの食品を提案するスーパーがあります。
参考URL:パントリー&ラッキー
僕たちが有機野菜をつくりはじめ、さてどこに買ってもらおうかと考えた時、やはりそれは「安全と品質、美味しさ」にこだわったところだろうということで、全国の名だたる有名スーパーになんとかアポをとり、商談に出かけていましたが、その中にこのパントリーとラッキーを運営する大近がありました。
最初の商談でいきなりじゃがいもを2000ケース以上注文してくださり、いまも、取引きが続く、とてもお世話になっている取引先です。
その大近から「食(おいしい)は愛(うれしい)」という本が出ました。
食品添加物を一切使わないハム・ソーセージや惣菜、おにぎりやお弁当、低温殺菌牛乳など、安全性と高品質を追求したプライベートブランド商品(以下、PB)、それよる顧客の安心を追求する姿が丁寧に書かれています。
僕たちは有機野菜栽培を専業としていますが、数年前までは、鳥取県産のこだわり食材をインターネット通販で提案する事業を営んでいました。
たくさんの生産者、たくさんの商品に出会ってきましたが、「自分の大切な人たちと分かち合いたいと思えるほど美味しいか」「自分の家族にも食べさせたいと思えるかどうか」といった、定量化できない部分が、取り扱いの最後の決め手となっていました。
大近が、いわゆるフツウのスーパーから安全・高品質なPBを追求するきっかけとなった一つの「事件」に際して、当時の副社長伊藤賢二氏がうどんの工場長に対して言った言葉が紹介されています。
「この工場で作ったうどんを10歳の息子さんや家族に食べさせたいと思うか?」
その質問に頭を縦に振ることができなかった工場長を見て、伊藤副社長は工場を即時閉鎖します。が、工場長もこれに黙っておらず、「無添加のうどんをつくりたい」と直訴するわけです。
「自分の子どもに食べさせたいと思うか?」という問いかけは、食を評価するうえで、慎重な態度をとるきっかけとなります。僕たちが取扱商品を決める時の最後の砦にもなっていたこの問いかけが、大近の安全・高品質なPB商品開発のキッカケにもなったいたわけです。
食品添加物を使わない食品は、いまや探すほうが難しいですが、もちろん作るのも難しいわけです。売り物ですから、単に作るだけでなく、美味しくなきゃいけないし、価格もべらぼうに高くてはいけない。作ったら作ったで、その他の食品よりも保存がきかないこと、色味が悪い(と受け取られることが多い)ことなどを丁寧に説明したりと売る際にも手間がかかる。作るのも売るのも大変なんですね。
この姿勢を貫き、きちんと事業化し利益を生み出す。すごいことだとは思っていましたが、この本を読み、執念にも近い思いで歩みを進めてきた大近の「食の安全」に対する考えを知り、一取引先として、僕たちも身の引き締まる思いがしました。
.
さて、こちらの本に、「プライベートブランドをつくる人々」と題して、僕たちトゥリーアンドノーフが紹介されています。
そのページ数、なんと11!
取材は少し前ですので、今は生産していない有機なすなどの写真も載っていますが、僕たちだけでなく、最初の商談でお会いしたバイヤーにもインタビューしてあり、「ああ、こんなふうに考えて、取引きをはじめてくださったのか」と初めて知ることなども。「ああ、あの時はめちゃくちゃ迷惑かけたなぁ」と思い出して冷や汗をかくことも(笑)。
パントリー、ラッキーの両スーパーには、農産物だけでも全国の有名産地で活動する100を超える法人、個人の取引先があります。そんな中から、まだ無名のトゥリーアンドノーフを取り上げてくださったということは、「もっと頑張れよ!」という激励のメッセージだと理解しています。
スーパーの領域を超えたものづくりを実践している大近の取り組みを丁寧に取材しまとめた「食(おいしい)は愛(うれしい)」。食の安全や品質、食品添加物について興味のある方は、ぜひご一読ください!
(本文中、敬称略)