2018年小松菜栽培、本格始動!(施肥+畝立て+は種)
徳本です。
僕たちが生産する有機小松菜の栽培の流れについて、前回の記事では、「畑の水はけ改良」と「粗耕起」の作業の様子をご紹介しました。
今日はその翌々日から本格的に作業を開始した、「施肥(*)」「畝立て」そして「播種(*)」についてご紹介します。
専用器械を使った播種の様子
施肥+畝立て
粗耕起(*)しただけの畑は、まだ土が粗い状態です。このままでは、小松菜の種を播くことはできません。
しかし、今年20ヘクタール(*)という広さの面積で小松菜を栽培する僕たちには、じっくりと土を細かく耕運する時間はありません。
そこで畝を立てる作業と同時に、施肥、耕運も同時にやってしまいます。
2018年の目標にも書きましたが、肥料や資材を見直し、2種類の肥料に絞り込みました。
この肥料を1種類ずつ施肥しながら、耕運し、畝立てをすると、「施肥(肥料1)-耕運-畝立て」「施肥(肥料2)-耕運-畝立て」と同じ作業を2度繰り返すことになります。
粗耕起した畑の土を2度耕運することで、ほどよく土が細かくなり、播種可能な畝が立てられるわけです。
写真を加えながら、もう少し説明しましょう。
下の写真は、作業中のトラクターです。前部にパイプのようなものが縦に何本も取り付けられているのが見えるでしょうか?
これは「グランド・ソワー」という施肥するための器械で、野菜を育てる畝の上だけにピンポイントに、設定した量だけ施肥することができる優れものです。
施肥する2種類の肥料は、畑に投入する量がそれぞれ異なるので、先ほど書いたとおり1種類ずつ施肥します。
写真では分かりづらいのですが、ペレット(*)状の肥料がパイプからどんどん畑の土の上に落ちています。
肥料が落ちた土を、トラクターの後部に設置した「ロータリー」で耕運し、肥料を土の中にすき込みながら、粗い状態の土を細かくしていきます。
さらにロータリーの後ろに設置した「畝立て機」で、畑の土を畝の形状に成形していきます。
上の写真は、1度目の「施肥(肥料1)-耕運-畝立て」ですので、畝の状態がまだ少し粗めですが、二度目の作業が終わった下の写真では、土の状態が細かくなってきれいな畝になっているのが分かると思います。
今年一発目の畝立て施肥。 pic.twitter.com/TCiYOCgyOq
— 徳本修一 (@tokumoto1122) March 14, 2018
畝立てが終わると、いよいよ播種です。
播種
播種、つまり種を播く作業は、売り上げに直接つながるものなので、しっかりとした計算が必要です。
例えば、種を1粒しか播かなければ1株しか収穫できないし、1万粒撒けば1万株収穫できるわけです。実際には、病気や害虫その他の理由で収穫できる率は下がりますので、1万粒撒いても6000株しか収穫できないこともあります。
そういったリスクも考えながら、売上目標から逆算し、何粒の種を撒く必要があるのかを十分に計算して、作業にとりかかります。
ここで、賢明な読者の方なら「種を撒くのは畝の上なんだから、畝の幅や長さもしっかり計算しないといけないんじゃないか?」と気づかれたと思います。
そのとおりです!
初めて使う畑については、登記上の数字を鵜呑みにせず自分たちで計測し、畝がいくつ立てられるかを試算します。
畝の長さは、作業効率性やトンネルに使うシートの長さなどを考慮して50メートル、100メートル単位でできるだけ長く設定しますが、幅は主に、小松菜が健康的に生育できるような種と種との間隔を軸に決定します。
以下の図をご覧ください。
小松菜の種は、一列に5粒、種と種の間は14センチの間隔で撒く計画です。種の数を条数(じょうすう)、間隔を条間(じょうま)と言います。
ちなみに、栽培中は畝を半円形のトンネルで覆うために、端ギリギリに播種すると、トンネルのシートと成長した小松菜がぶつかってしまい、生育に支障が生じます。そのため、畝の両端には17センチずつの余剰をもうけています。
5粒で構成される列を、今度は7センチ間隔で、畝に沿って連続させていきます。この列と列の間を株間(かぶま)と言います。
この設定で播種すると、仮に畝が100メートルの場合はおよそ7000粒の種を撒くことができる計算になります(*)。
「なんで条間と株間で間隔が違うの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかも知れません。
条間は株間よりも広くとるのが一般的です。栽培期間中は畝を防虫ネットで覆ってトンネル状にするので、風は畝に沿って通り抜けていきやすくなります。風の抜けは、病害虫の予防に重要な要素の一つですので、条間を広くとり、風の抜けを良くしてやるわけです。
もちろん、株間も広くとることで、風の抜けはより良くなるはずですが、そうすると播種できる種の数がかなり減ってしまいます。
野菜が健康的に大きく育つ環境と、収穫量(=売上)とのバランスを考慮して、条間と株間を検討、決定するわけですね。
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さあ、いよいよ、播種です。
播種は、下の写真のような「播種機」を使って行います。
このように、畝の上をハンドルを押しながら進み、播種します。
前方に付いているローラーで畝の土を均し、中央の透明なボックスから種が落ち、後方の器材とローラーで土をかぶせ、整地します。
さきほど書いた条間や株間は、この播種機で設定します(が、いずれもボルトやスプロケット(歯車)を取り外したりとやや面倒な作業です。ワンタッチでできるようにならないもんですかねぇ……)。
小松菜の播種中!昨日今日で80アール播種します! pic.twitter.com/9kyBTR9wGd
— 徳本修一 (@tokumoto1122) March 15, 2018
播種は、晴れ、そして数日以内に雨の予報が出ているという条件が揃った日にしかできない作業です。
僕たちのような露地栽培の場合、常にその日の天気、天気予報とにらめっこ。シーズン中はそこにも神経をすり減らします。
* 施肥:肥料をやること
* 播種:種まき
* 耕起:土を掘り起こしたりして耕すこと
* 20ヘクタール:20万平方メートル(東京ドームの5倍強)
* ペレット:小さなかたまり
* 7000粒の種を撒くことができる計算:100メートル÷7センチ(株間)×5(条数)=7,142