2018年新入社員農業研修
徳本です。
トゥリーアンドノーフの母体であるALH株式会社の新入社員研修が、毎年ゴールデンウィーク明けに、ここ鳥取で行われます。
今年も25名の新入社員が、鳥取にやってきました。
一週間以上に渡って寝食を共にし、農業研修を含む様々なプログラムを通じて、社会人としての基礎やチームワークなどを学び、身に付けていきます。
農業研修
新入社員たちには、畑での小松菜収穫と、収穫した小松菜の出荷調整作業をお願いしました。
まずは、お願いする作業が小松菜栽培の一連の流れの中でどのような位置付けなのか、個々の作業にどういう意味があるのか、どのような機器を使うのかなど、じっくりと説明しました。
小松菜の収穫の様子。
今年は研修期間を通じて天気に恵まれる日が多く、気持ちよく農作業することができました。
今日は約4000パック、出荷しました。明日から更にペース上げて行きます! pic.twitter.com/6QNsiakDur
— 徳本修一 (@tokumoto1122) May 8, 2018
作業効率を上げるには?
さて、新入社員たちは先述のとおり、農業研修以外にも「課題発見力」「ストレスコントロール力」「実行力」「計画力」などを身につける、「社会人基礎力研修」を受けます。
実に多忙な7泊8日なのですが、彼らにはこれらに加えて「トゥリーアンドノーフへの企画提案」という課題が与えられています。
例年、何かしらのテーマが新入社員たちに与えられ、多忙な研修の合間をぬって企画を練り上げ、研修終盤に合流する先輩社員たちにプレゼンテーションする、というものなのですが、今年はそのテーマを「(農作業の)作業効率をいかに上げるか」としました。
今年は105馬力の大型トラクターや大型のアタッチメントを導入し、大型化・機械化を進めているトゥリーアンドノーフですが、収穫と出荷調整については現在もマンパワーに頼っており、今年の売上目標から逆算すると、これらの作業がボトルネックとなる可能性が非常に高い。
ボトルネックとなる部分が改善されなければ、他の作業をいくら改善しても、目標を達成するという観点で言えば無意味ですから、収穫と出荷調整、両作業の効率性をいかに上げるかというテーマは、いま僕たちが抱える大きな問題点でもあるわけです。
もちろん、僕や清水をはじめ、スタッフはみな「どうしたら、作業効率が上がるんだろう」と日々考え、試行錯誤していますが、毎日現場作業をしていると、どうしても近視眼的になったり、考え方が固定的になりがちです。
そこで、ふだん農業とは縁のない新入社員たちのフレッシュな力を借りれば、新たな視点や切り口をこの問題に与えることができるのではないか、と考えました。
さらに、このテーマを与えられた新入社員たちは、「どうしたら作業効率が上がるだろう」と考えながら、取り組むことになります。
例年設定されるテーマは、取り組む農作業には直接関係のないものが多かったため、農作業をしながら別のことを考えたり、漫然と作業するといったことが見受けられていました。
これを改善し、さらに考えながら作業することで、僕たちと同じように考えながら作業に取り組み、向き合ってほしいと企画したわけです。
プレゼンテーション
研修終盤、新入社員たちが4日間、計18時間、農作業と向き合い、必死に考え、調べ、まとめてくれた「トゥリーアンドノーフへの企画提案」のプレゼンテーションがありました。
感動しました。
彼らのプレゼンテーションの中身は、決して机上論ではなく、今回の作業体験を通じて考えられたもので、しかし「それは現実的には……」といった縮こまりもなく、のびのびと若者らしさに溢れていました。
例えばあるチームは、収穫作業に使用するコンテナに注目し、そもそもコンテナを使わなければ効率性が上がるのではないかと仮設を立て、収穫作業や動線を分解し、個々の作業の目的や負荷などを解析したうえで、収穫から出荷まで畑で完結する「動く作業場」という、緻密且つ大胆な提案をしてくれました。。
収穫に使用するコンテナ。確かにコンテナの移動にはかなりのリソースを使う
また別のチームは、今回の農業研修で実際に感じた、作業に関するレクチャーの不備や、現場からフィードバックを受け取るなどの基本的なコミュニケーションの仕組みがないことに困った経験から、どうすれば改善でき、従業員の不満や不安を取り除いて満足度を向上させることができるか、具体的な提案に練り上げていました。
そのほか、害虫忌避アのイディア(英語の論文を解読!)、収穫マシン、企業理念をスタッフに浸透させるためのデザイン、調整作業の機械化案など、忙しいスケジュールのなか、短い時間でよくここまで考え、まとめることができたなと関心させられるものばかり。
また、僕たちが日々の作業を通じて感じていた問題点や、挑戦すべきアイディアなど、実に本質的なポイントを突いていました。
そして、その内容もさることながら、スピーカーも非常に上手く、個性的で、気がつくとプレゼンテーションに引き込まれていました。
思わず顔がほころぶワタクシ徳本修一
実のところ、たった数日で評価に値する企画をつくるのは困難じゃないか、しかも農業をやったことのない彼らにどれだけ現場の問題点が探り出せるのかと、懐疑的だったんですよね。だから本当に驚きました。
意味のない先入観やプライドは脇に置いておいて、どのような背景、立場の人の意見でもしっかり傾聴することが大切だと、あらためて気づかされました。
新入社員のみなさん、本当にありがとう。お疲れさまでした。
またいつか、鳥取でお会いしましょう。