2017年の総括(失敗編)

徳本です。

2018年が始まって、もう1か月経ちました。

毎年言っているような気がしますが、今年は勝負の年です(毎年そういう気持ちでやっているのは確かです)。

昨年は現場作業があまりに忙しく、ブログでその報告がほとんどできない状態でした。トゥリーアンドノーフは、活動内容をできるだけオープンに伝えていくことをモットーにしているので、これは実に反省すべき点です。

遅くなってしまいましたが、昨年、2017年の総括を「失敗編」と「成功編」の2回、そして今年、2018年の目標について、合計3記事を、弊社スタッフの和多瀬との対談形式で公開していきます。

今回は「失敗編」をお送りします。

2017年の前半は失敗続き

作付け品目を小松菜に絞って本格的な栽培を開始したのが2016年10月だから、一年を通して栽培したのは、去年が初めての経験だよね。

そうですね。露地栽培は気候風土や天候の影響が顕著ですので、一年を通して栽培し、四季はもちろん、梅雨の長雨や台風、日照りや積雪なども含め、経験し、記録がとれたのは大きかったですね。

去年前半、つまり6月までは失敗の連続だったね。

失敗は一年中なにかしらありますが、去年前半、特に5月から6月にかけては、本当にしんどかったです。

5月は、気温が上がってきて、さあいよいよ本格的に栽培開始だ! という時期だよね。

はい。ところが、一部の畑で、肥料不足が原因で小松菜の成長が完全に止まってしまったんです。


窒素飢餓状態となった小松菜は、黄化し、生育が完全に止まってしまった…

肥料不足? なんと言うか、とても基本的なミスのように聞こえるけど。

昨年は2月の大雪の影響で、予定がかなり後ろ倒しになってしまって、全ての畑に施肥(*)する時間がなくなってしまったんです。播種(*)はタイミングが命で、1日でもずれると成長や収穫時期に大きな影響を及ぼしてしまんですよ。土壌分析した結果、前の年に、同じ畑に投入したミネラルが十分に残っていたので、他社の事例も参考にして検討し、それでいけると判断し、試験的な意味もあって施肥せずに播種したんです。ところが全く育たなかった。専門的な言い方をすると、窒素飢餓という状態になっていました。小松菜が成長するうえでもっとも大切な栄養素のひとつである窒素が全然足りていなかったんです。

仮に、今年また大雪が降ったりした場合、同じ状態になってしまうのかな? それとも、もしそうなった場合は、施肥できない畑には播種しないことにするのかな?

あとで詳しく話しますが、今年は機械の大型化と肥料の見直しで、作業時間をかなり圧縮できる見込みです。ある程度、天候が悪くて畑に入れない日が続いてもスケジュールが大きく崩れないはずです。

なるほど。では、続いて6月。

去年一年でもっとも大きな失敗となったのが、6月でした。

アブラムシとハダニが大発生したんだよね。

はい。栽培中の小松菜は、毎日しっかり観察して、害虫被害が出ていないか、健康被害は出ていないかをチェックしています。アブラムシやハダニが出始めたのも、もちろん気づいていました。

対応が追いつかないほど大増殖、大発生したと。

凄まじいスピードでした。「あ、アブラムシ」だと気づいて、それから2〜3日中には畑全体に一気に広がってしまったんです。去年のアブラムシはとにかく凄くて、原因としては降雨量が少なかったことが挙げられるんですが、地元の農家さんたちも「こんなアブラムシの出方は初めてだ」とおっしゃっていました。


壊滅した小松菜の畑。奥は健康に見えるが、実際には下の写真のようになっていた


小松菜の裏側にびっしりと付着したアブラムシとハダニ

契約している出荷先への対応は大丈夫だったの?

深夜1時に畑に行って、アブラムシの少ない株を収穫してしっかり洗って袋詰めして、夜遅くに自宅に帰って仮眠してまた畑へ行って……連日、そんな作業を繰り返していましたが、最終的には出荷を止めました。もちろん契約先にはお詫びして。5月と6月の失敗で、2017年の一年間の売り上げ予算の25%を失ってしまったんです。


自動車のヘッドライトを照明代わりにしての深夜作業

長時間の肉体労働に加えて、精神的にもダメージのある事態だね。

こんな小さなアブラムシですけどね、自然には抗えないと。放心状態になって1時間以上、畑に寝転がっていたこともありましたね。

自然の脅威だね。対策はあるんだろうか?

僕たちは有機栽培を活動の柱にしていますので、一般的な農薬は使えません。農薬を使えば、アブラムシの防除作業はものの数時間で終わりますが。

いろんな意味で、有機農業の難しいところだよね。

農薬を使わない対策としては、窒素過多にしない、防虫ネット内の風通しを良くする、小松菜の葉がネットに着かない条数(*)にする、支柱のピッチを調整するなどありますが、何より一番重要なのは、畦畔(けいはん*)及び間の草を常に生やさないこと。草の中に生息するアブラムシの成虫の飛来数を抑えることが、一番有効性の高い防除になります。

除草が大切だと。

そうですね。その除草ですが、タイミングを逃してしまって、雑草にもやられました。


小松菜の姿が見えないほど、ネットの中で成長した雑草

梅雨前後の雑草の成長速度は、ちょっと恐ろしくなるほどだからね。

小松菜を栽培しているネットのトンネル内が雑草だらけになりました。こうなると、日光が当たらなくなって光合成ができなくなるうえに、雑草に養分をみんな持っていかれてしまうので、小松菜の成長が止まってしまうんです。これについては、どの程度雑草が伸びると小松菜に影響が出るのか、除草に入るタイミングなどを見計らうなどの試験的要素もありましたが、この畑の小松菜は収穫に至りませんでした。

これは、除草する、要するに草刈機みたいなもので人力でカットしていくしかないのかしら?

伸びてきた草に対しての対策はそうですね。あとは事前に雑草が生えないように、太陽熱養生処理を実施して土の中にある雑草のタネを熱で殺したり、マルチシーダーといって畑の上をマルチで覆うことで遮光し、雑草が生えにくい環境にするといった手法もあります。

太陽熱養生処理は、2016年に大規模にやって、「もうこの手法はとらない」という結論になったんじゃなかったっけ?

太陽熱養生処理の目的はいくつかあるんですが、「土壌改良」と「雑草の抑制」の2点が特に重要です。しかし、土壌改良については教科書に書いてあるような効果がなかったんですね。それで、後者の「雑草の抑制」という目的に絞って実施しています。目的を絞ると作業内容や使う資材なども大きく変わるんですが、後者だけだとそれほど負担にはならないわけです。

なるほど。

土壌改良、専門的には「土壌物理生の改善」ですが、他には緑肥(*)を使う手法が一般的なんですね。しかしこれも僕たちの畑では効果がなかった。

教科書に書いてあることや一般常識は、気高の畑には通用しなかったと。

気高の畑に限らず、畑というのは自然の一部なので千差万別、全く同じ条件、同じ状態のものなんて絶対にないわけなんです。去年一年間は、仮説を立て、実行し、結果をデータ化して改善策を考える、つまりPDCA(*)のサイクルをひたすら回すことができました。これまでの失敗と異なるのはそこですね。

そして、これは去年前半ではないけれども、終盤の12月に想定外の雪にやられましたね、。

12月上旬は、多少の雪がちらつく程度のことは想定していましたが、まとまった雪が降ることは正直あまり想定していませんでした。


雪に押しつぶされた小松菜のトンネル

雪ね……。これはもうどうしようもないものなのかねぇ。

いくつか対策があると思っています。ひとつは折れにくい品種を選ぶこと。

今回の被害は、雪の重みで小松菜の軸(茎)が折れてしまったんだよね。

はい。同じような雪の降り方、積もり方でも、ポッキリ折れてしまっていた小松菜と、しなって折れなかった小松菜があったんです。後者の品種を栽培することで、想定外の雪が降っても被害を限定的にすることができると思っています。

小松菜を栽培しているトンネルを強くするということもできるよね。

ふたつ目がそれで、これまでは支柱を3メートル間隔で立てていたんですが、雪が降るリスクのある季節は、これを1.5メートル間隔にします。

なるほど。

最後、みっつ目は雪が降りそうな時期には収穫を終えるようスケジュールすることです。秋から冬にかけては気温が上がらず、小松菜の生育速度も落ちるので、播種から収穫までに夏の数倍の時間がかかるんですが、これをしっかりスケジュールして管理することで、12月上旬にはすべての畑の小松菜の収穫を終えることができます。雪が降る時期は栽培しない、これが一番のリスクヘッジになりますね。

雪のなかの収穫は大変だもんね。


吹雪に近い荒天のなかの収穫は過酷

非常に厳しい作業になりますね。うちは素晴らしいスタッフに恵まれて、こんな状況でもみんなが笑顔を絶やさずに取り組んでくれるので助かっていますが、理想は、厳しい状況では農作業しない、ですね。

こう聞くと、ただただ失敗の連続のように聞こえるけど、もちろんうまく行っていたこともあるんだよね?

もちろんありますが、やはり5月と6月の失敗は大き過ぎましたね……。ただ、未来の成功を見据えて、時間をとってじっくりと仕組みを改善したり、農業というよりは、会社組織として当たり前の、かなり基本的な部分の改善に取り組んでいたのも去年前半だったので、その効果は後半に入って確実に現れてきたと思います。

では、次回は2017年の後半、成功編に続きます。

施肥 肥料を畑にまく、投入すること
播種 畑に種を播くこと
条数 じょうすう。栽培するスペースの横幅に対して野菜を植える数のこと。例えば5列と10列では、土中の栄養素の配分量や成長時の日光の当たり方などが変わり、野菜の成長に大きく影響する
畦畔 けいはん。畦道のこと
緑肥 畑に肥料目的で栽培し、成長したらそのまま畑に鋤きこむための植物のこと
PDCA P(=Plan=計画)D(=DO=実行)C(=Check=検証・検証)A(=Act=改善)の略で、事業活動などを改善していくためのメソッド


徳本 修一

トゥリーアンドノーフ代表取締役。消防士、芸能マネージャー、歌手活動を経て、子どもたちがおいしく安心して食べられる野菜を作るため鳥取に帰郷しトゥリーアンドノーフを発足。おいしい野菜を作るぞー!(詳しいプロフィールはこちら)

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2 Responses

  1. 関口千恵子 より:

    株式会社プレマ関口です。前橋でも30cm近い積雪が2度ありました。
    1月から2月の降雪を予測して、トンネルにはダンポールを使用。雪が降った後でも復元力が違います。さし方にもポイントがあります。やはり、ポールの間隔は夏秋仕様よりはせばめています。
    私も極寒の真冬にあぶら虫だらけの小松菜を洗った辛い経験があります。前年に上手くいっても翌年、それが通じない。幾度も辛苦遭逢しました。
    それでも、有機小松菜作りに魅力を感じずにはいられません。これはある意味中毒でしょうか?
    今朝も3月出荷を見込んで仕込んだ66㌃の圃場を確認し、よっしゃあと尾池農場長とにんまり
    努力は必ず報われます。前橋から応援しております?

    • 徳本 修一 より:

      関口さま

      コメントありがとうございます!
      プレマ様のFB投稿、いつも拝見させて頂いております!
      また尾池農場長には昨年、何度もご相談のお電話をさせて頂き、いつもご寧にアドバイスしていただき感謝しております。

      今年は本当に雪が多いですよね。。
      ご指摘の様に、特に冬場はダンポールが必須ですよね。
      一昨年は、通常のトンネル支柱を積雪で折られて、折れた角で防虫ネットも破れてしまうという被害にもあいました。

      有機小松菜はリスクも高いですが、生育が綺麗に揃って、株張良好な有機小松菜たちが活き活きと風になびく圃場を目の当たりにすると、何とも言えない高揚感と達成感に包まれますよね。

      今後ともよろしくお願いいたします!

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